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証券経済研究 第110号(2020年6月)
市場激変時における新規株式公開市場の価格形成
—新型コロナウイルス感染拡大期のケース—
船岡健太(九州産業大学商学部教授・当研究所客員研究員)
〔要 旨〕
新規株式公開における公開価格の調整過程においては,プラスの情報とマイナスの情報に対する調整は非対称であることが先行研究で明らかにされている。プラスの情報よりもマイナスの情報に対して,より大きな調整が行われる。コロナショックによる市場環境の悪化を理由として新規上場を延期した18社の公開価格の調整過程においては,大幅なディスカウントを伴う調整が行われた状況を確認することができる。このような今回の不測の事態により生じた公開価格の形成過程における大きな負の調整は,アンダーライターと発行会社間で事前に暗黙的に合意していた公開価格の水準を維持することができない状況を発生させ,このことが新規上場延期という意思決定につながったことが示唆される。

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