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証券経済研究 第107号(2019年9月)

非公開化型MBOの異質性に関する実証分析:動機・買収プレミアム・エグジット

川本真哉(南山大学経済学部准教授)

〔要 旨〕
 本稿では日本の非公開化型MBO案件を対象に,クラスター分析により類型化を試みるとともに,類型化されたクラスターごとに少数株主の富や非公開化後の組織形態が異なるかどうかについての検証を行った。分析の結果,以下の点が明らかとなった。第1に,クラスター分析からは非公開化型MBOが高い経営者持株比率を特徴とするグループと,高い外国人持株比率を特徴とするグループとに分けられることがわかった。
 第2に,買収プレミアムの水準をチェックしたところ,高経営者持分型と高外国人持分型の間に,プレミアム水準に有意な差はないことが示された。同様に,所有構造をダイレクトに挿入したプレミアムの決定要因の分析からも,経営者持分は直接的に影響を与えておらず,ファミリーが強圧性を発揮しているとの証拠は得られなかった。
 第3に,非公開化後のステータスを追跡した結果,ファミリー主導型企業群では,再上場化する割合が低いことが示された。同様に,再上場や他社とM&Aを行うか否かのダミー変数を被説明変数とした競合リスク・ハザードモデルからも,経営者持株比率は再上場化に対しネガティブな影響を与えていることが確認された。経営者持分が高い案件では非公開化による彼らへの株式集約化が主な動機となっているため,非公開化後も継続してそのステータスを選好しているものと推測できる。

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