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証券経済研究 第106号(2019年6月)

ポルトガルの銀行危機の長期化とその背景分析

土田陽介(三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)調査部研究員)

〔要 旨〕
 ポルトガルはかつてGIIPS(あるいはPIIGS)と揶揄され,実際にEUとIMFから金融支援(11年4月)を受けた重債務国5ヶ国のうちの1つであった。ポルトガルは14年5月に金融支援から脱却するが,その後も銀行の経営不安は続き,事態が収束するまで約10年の歳月を要した。比較的短期に銀行危機を脱したアイルランドやスペインに比べると,ポルトガルの銀行危機は長期化したことに,その特徴がある。
 EUがポルトガルの銀行危機を軽視した背景には,当時はギリシャやスペインなど,より深刻な状況に置かれていた重債務国の救済をEUが優先せざるを得なかった事情があったと推察される。ギリシャやアイルランドに関しては,それらの国債を保有していた大陸の巨大金融機関の連鎖的な倒産を回避する必要があった。スペインに関しても,その経済規模の大きさゆえ,ハンドリングを間違えればEU全体に危機が広がる可能性があった。
 重債務国への金融支援に際して,EUによる金融支援は常に後手に回っている。言わば「戦力の逐次投入」型のサポートに終始してきたEUであるが,背景に危機対応に際して公的資金の活用をできるだけ回避しようという経済観があったことは明白である。そうした中で行われた選択と集中の結果が,ポルトガルの銀行危機の長期化につながったと整理されよう。

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