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証券経済研究 第104号(2018年12月)

日本企業における株主優待実務の実態:サーベイ調査から

安武妙子(創価大学経済学部講師)
永田京子(東京工業大学工学院准教授)

〔要 旨〕
 株主優待はわが国の上場企業における株主向け施策として広く認知されており,その実施率は2017年11月時点で全上場企業の35%を越えている。しかし,一口に株主優待と言ってもその内容や形態は多岐に渡り,企業における実務上の扱いについてはこれまで解明されて来なかった。本稿では,これまでの株主優待に関する法的論点や会計・税務上の扱いに関する議論について,サーベイ調査により明らかになった株主優待実務の実態から考察する。主な結果は以下の2点である。まず株主の権利行使に関する利益供与の問題,株主平等原則に関する問題,株主優待の現物配当への該当性といった株主優待の法的論点について,現在の実態としては多くの場合,許容されうる範囲で行われている点である。株主優待の適法性を確保する上ではその内容および金額が「社会通念上許容され」「軽微なもの」であることが重要であると考えられる。この点に関して,今回のサーベイ調査によって,株主優待に係る総額は平均で総配当額の8%,中央値では3%に満たず,企業にとっての費用は軽微なものであることが明らかになった。次に,株主優待にかかる費用の会計処理については,全体として交際費として計上するケースが最も多く,広告宣伝費やその他販売管理費として,また複数の項目で計上しているもケースもあることが確認された。

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