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証券経済研究 第101号(2018年3月)

日米の証券決済期間T+2への短縮

福本葵(帝塚山大学法学部教授・当研究所客員研究員)

〔要 旨〕
 2017年9月5日から,アメリカ,カナダ,メキシコの株式,社債等の証券の決済期間が約定日から換算し4営業日目(T+3)から3営業日目(T+2)に短縮された。欧州の証券市場ではすでに2014年10月6日からT+2となっている。北米の証券市場の決済期間がT+2となったため,世界の主要10市場の中で,決済期間がT+3なのは,東京証券取引所のみとなった。
 日本の株式市場の決済期間が現行のままでは国際競争力が相対的に低下する要因となる。そのため,日本の証券決済期間のT+2への短縮化についても,日本証券業協会を中心に議論が進められた。そして,2015年7月,同協会は,「証券受渡・決済制度改革懇談会」の下に「株式等の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ」を設置し,T+2化の実現に向けた検討を行い,2016年6月,「株式等の決済期間の短縮化に関する検討ワーキング・グループ最終報告書」を公表した。この中で,T+2実施の開始日を2019年の4月または5月の連休明けとした。
 決済期間の短縮化は,カウンターパーティリスク,流動性リスクなどの削減に繋がる。証券の売り手が代金を受け取れない,買い手が証券を受け取れないカウンターパーティリスクは,決済期間が短ければ短いほど縮小する。
 また,清算機関には,証券取引の債権債務の相手方になり,カウンターパーティリスクを削減する機能がある。清算参加者は清算機関に証拠金を預託しなければならない。カウンターパーティリスクが削減すると,清算機関が参加者に課す証拠金要件が緩和され,参加者は資金を効率的に活用することができる。

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