トップ  >>  出版物・研究成果等 >> 株式投資収益率  >>  2007年

出版物・研究成果等

当研究所の出版物の購入を希望される方は、「刊行物購入について」をご覧下さい。

株式投資収益率 2007年

財団法人 日本証券経済研究所 編
ISBN978-4-89032-467-5
2008年7月発行
CD-ROM(Excel版)
本体(税別)8,000円 
購入

収録内容

CD-ROMには、以下のものが収録されています。

  1. 対象企業:東京証券取引所株式市場第一部および第二部上場全企業。
  2. 対象期間: 第一部は1952年1月から2007年12月まで。
    第二部は1974年10月から2007年12月まで。
  3. 計算結果
    (1) 東証一部および二部の市場収益率(月間・年間)
    (2) 東証一部および二部の株価指数
    (3) 東証一部および二部の投資年別市場収益率(加重平均および単純平均)
    (4) 東証一部および二部別の産業別収益率(月間・年間,28分類)
    (5) 銘柄別収益率(月間・年間)
     2007年中上場廃止会社の収益率(月間・年間)
    (6) 銘柄別の投資期間別収益率(1,3,5,10年)

概 要

2007年株式投資収益率の概要

株式投資収益率とは、株式投資から得られる収益の投資額に対する比率である。収益には配当や値上がり益(値下がり損)の他に、株主割当増資によって得られる利益などが含まれる。株主優待などの利益は含まれていない。また、税金、手数料などのコストは考慮されていない。年間収益率は、前年の平均株価で買い、当年の平均株価で売ったものとして計算されている。月間収益率は前月末に買い当月末に売ったという前提で計算している。

(1)東証第一部の年間収益率は4.5%(加重平均)

2007年の東証第一部上場銘柄の加重平均年間収益率は4.5%であった(表1)。2006年の30.5%を大きく下回ったものの、2004年から4年連続でプラスの収益率を継続している。しかしながら、単純平均でみると東証第一部の年間収益率は-5.9%であり、2002年以来のマイナスの年間収益率となった。
 2007年の東証第一部の収益率を月ごとに見てみると、プラスとマイナスの月がそれぞれ6つあり、上昇と下降を繰り返しながら、年後半にかけて相場が崩れていったことが解る。第一部で最も月間収益率が高かったのは5月(2.8%)、最も低かったのは8月(-5.5%)であった(11月も-5.4%を記録している)。
 2007年の株式市場は、(1)アメリカが震源となったサブプライム・ローン(低所得者や信用力の低い個人向け住宅ローン)問題、(2)原油などの商品価格の上昇、(3)年後半からの急速な円高(不安定な為替相場)、(4)相次ぐ企業不祥事(不正会計処理や、賞味期限等の偽装問題)など、相場の下落要因となる複数の要因による影響を受けた。(「加重平均収益率」および「単純平均収益率」については「解説」を参照のこと。)

(2)長期投資の収益率(第一部、加重平均)

東証第一部においては、バブル経済が崩壊した90年代以降、92年の-24.8%など、9つの年で単年の投資収益率がマイナスとなっている。しかしながら、2004年以降の株式市場の回復を反映して、2007年末まで分散投資を継続した場合、52年からのどの時点で東証第一部ポートフォリオへの投資を開始しても平均年間収益率はプラスとなっている。バブル経済のピークである89年に購入し2007年に売却した場合でも、年間収益率は平均で1.1%を確保した。より長期の投資がもたらす効果を見ると、77年から2007年まで30年間投資した場合の年間収益率は平均で8.6%まで上昇する。この間の消費者物価の上昇率が平均で年間約1.9%であることを考慮すると、実質的な平均年間収益率は約6.7%となる。十分に分散された株式ポ-トフォリオに対して、長期にわたって継続的に投資を行うメリットが確認されたと言えよう(表2)。

(3)東証第二部の年間収益率はマイナス8.2%(加重平均)

東証第二部上場銘柄の加重平均年間収益率は-8.2%となり、マイナスの収益率であった(2006年は21.3%)。加重平均と同様に東証第二部の単純平均もマイナスとなり、-12.8%を記録している。月ごとに見ると、東証第二部の月間収益率がプラスとなったのは僅か3つの月(1月・2月・6月)しかなかった。第二部で最も月間収益率が高かったのは6月(3.7%)、最も低かったのは8月(-9.3%)であった(表3)。

(4)配当利回りは1.28%(第一部)、1.25%(第二部)

東証第一部上場銘柄の平均配当利回りは2006年と同じく1.28%となり、90年以降の上昇傾向を維持した(表1)。企業の復配傾向も継続しており、無配は2006年の110銘柄から92銘柄に減少している。東証第二部上場銘柄の平均配当利回りは2006年の1.19%から1.25%へ増加した(表3)。また、無配は2006年の62銘柄から55銘柄へと減少している。ちなみに2007年の預金金利(日銀、定期預金の預入期間別平均金利)は、1年以上2年未満で0.331%から0.500%(1千万円以上)、国債指標銘柄利回りは、1.422%(12月)から1.948%(7月)の間で推移している(年末時点では1.478%)。

(5)第一部は「海運業」、第二部は「金属製品」(産業別、28分類)

2007年の産業別平均投資収益率をみると、東証第一部は28業種のうち23業種でプラスとなった(表4)。「海運業」が71.3%と最も高く、「その他製品」(53.8%)、「鉄鋼」(41.9%)と並んで40%を超える年間収益率となった。一方で、最も低い年間収益率となったのは「金融・保険業」の-14.9%であった。東証第一部の産業を市場収益率と相対的に比較してみると、28業種のうち15業種で東証第一部の市場収益率である4.5%(上記参照)を上回った。相対比較を2005年から2007年までに伸ばすと、3年間を通して「鉄鋼」、「不動産業」、「ガラス・土石製品」、「精密機器」、「機械」、「鉱業」の6業種が当該年の市場年間収益率を常に上回っていた。
 東証第二部でプラスの年間収益率となったのは僅か4業種にすぎない。「金属製品」(27.6%)、「海運業」(18.1%)、「建設業」(16.5%)などが高い収益率を達成した(鉱業は該当なし)。東証第二部の産業を市場年間収益率と相対的に比較してみると、2007年の市場年間収益率である-8.2%を上回ったのは「金属製品」を筆頭に12業種あった。2005年から2007年の3年間では、「建設業」、「機械」、「輸送用機器」の3業種のみが連続して市場収益率を上回っている。

(6)年間収益率が100%以上は11銘柄

個別銘柄別にみると、東証第一部と第二部を合わせた2,078銘柄(上場廃止銘柄、上場1年未満銘柄を除く)のうち、1,478銘柄の年間収益率がマイナスであった。逆に年間収益率が100%以上となったのは11銘柄で、2006年の18銘柄から減少した。2007年の収益率の階層で最も該当する銘柄が多かったのは-10%台であり、東証第一部と東証第二部を合計して474銘柄が該当した(表5)。

解  説

Ⅰ 収益率計算の対象と期間

〈対  象〉
東京証券取引所上場株式全銘柄(第一部および第二部)。

〈期  間〉
第一部……昭和27年(1952年)1月から平成19年(2007年)12月まで。
第二部……昭和49年(1974年)10月から平成19年(2007年)12月まで。

Ⅱ データの説明

〈個別銘柄〉

(1) 月間収益率 前月末に買い当月末に売った場合の投資収益率,月率。現金配当および株配・株主割当増資による収益を含む。

(2) 年間収益率 前年各月の平均株価で買い当年各月の平均株価で売った場合の投資収益率,年率。月間と同様,現金配当および株配・株主割当増資による収益を含む。

(3) 配当利回り 投資金額に対する現金配当の割合。割当増資による増配分も含まれる。 配当依存率=配当利回り/年間収益率。

(4) 投資期間別収益率 たとえば,投資期間5年の収益率は,5年前の平均株価で買って,当年の平均株価で売った場合の年あたり複利収益率。投資期間1,3,5,10年のみについて計算されている。ただし,対象期間中上場されているものに限って計算。(2007年基準)

〈市  場〉

(1) 月間市場収益率 全銘柄の月間収益率の加重平均。ウエイトは前月末の株式時価総額。一部,二部それぞれについて算出。

(2) 年間市場収益率 全銘柄の年間収益率の加重平均。ウエイトは前年末の株式時価総額。

(3) 市場配当利回り 全銘柄の配当利回りの加重平均。ウエイトは,前年末の株式時価総額。

(4) 投資期間別市場収益率

1) 加重平均収益率(マーケット・ポートフォリオの収益率)
全銘柄の加重平均収益率。ただし,毎年各銘柄への投資額がそのときの時価総額の比率に等しくなるように資金の再配分(買いかえ)を行ったときの収益率。すなわち,マーケット・ポートフォリオを維持するように組みかえを行ったときの収益率。

2) 単純平均収益率 毎年,各銘柄への投資ウエイトが等しくなるように,資金の再配分を行った場合の収益率。

(5) jsri株価指数

全銘柄の資産倍率の加重平均値。jsri株価指数の各月の増加率は,月間市場収益率に等しい。買いかえ型(ただし毎月)加重の投資戦略をとった場合の投資価値の倍率。 jsri株価指数は,東証株価指数に配当落ち修正を施したものとほぼ等しい。第一部は1951年12月28日=1,第二部は1974年9月30日=1。

〈産  業〉

市場収益率とまったく同様に計算されている。違っているのは集計の範囲のみである。

公益財団法人日本証券経済研究所は、株式市場の記録とその保持を目的として株式投資収益率を計測しております。
弊所が使用する独自の計算式は、実際の株式投資を用いた資産運用手法への適用を考慮したものではありません。(使用計算式は、出版書籍の「解説」をご覧下さい。)
弊所が計測した株式投資収益率の結果が投資の勧誘等に用いられている旨のご連絡を受けておりますが、弊所はあくまでも過去の計測記録として公開しており、投資勧誘等の営利的行為への使用を目的としてはおらず、また、許可もしていません。

 

お探しの出版物が見つからない場合は「出版物検索」ページでキーワードを入力してお探しください。