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証券経済研究 第106号(2019年6月)

EU資本市場同盟とイタリアにおける金融環境について

髙橋和也(当研究所研究員)

〔要 旨〕
 大陸欧州諸国は,伝統的に銀行貸出に依存した間接金融主体の経済といわれるが,金融危機後の不良債権処理や世界的な低金利環境が収益を圧迫しており,貸出を通じた資産規模の拡大が難しい欧州の銀行も多い。
 こうした状況を打開しようと,資本市場全体の活性化を目的とした取組みが資本市場同盟(CMU)である。特に本構想の発表当初に注目された,証券化に関する新たな規格の策定やその自己資本規制上の優遇といった法案は,比較的速やかに施行されるなど,進展がみられた。
 他方,CMUの構築を通じた経済活性化が最も渇望されるイタリアについてみると,2019年がCMUの目標期限となっているにもかかわらず,2018年後半にはマイナス成長を記録している。これは特に,過去の欧州債務危機の際に問題となった国家財政の持続可能性と金融機関のバランス・シートの間の負の連環に影響を受けていると考えられる。不良債権の絶対額はまだ大きいもののピーク時の半分以下まで処理を進めたにもかかわらず,欧州北部所在の銀行に比べ,イタリアの銀行は厳しい資金調達環境に直面しており,こうした傾向は2018年後半以降に特に顕著である。これには同年6月に発足した拡張財政主義の新政権のもとで,イタリア国債利回りが高騰していることが,同国銀行部門の資金調達環境を悪化させていることが影響しているものと考えられる。

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